アタッチメントと基本的信頼感
第1に大切なことは、大人に愛されて無条件に受け入れられるという経験を赤ちゃん時代から得ることです。精神医学や心理学の分野では「アタッチメント」と呼ばれるものです。アタッチメントとは「不安な時に特定の大人にしっかりとくっつくことで、確かな安心感を得て、その中で形成される情緒的な絆」のこと。つまり、親など身近な大人との基本的な信頼感を持つことが何よりも大事なのです。(非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める /講談社/大豆生田啓友 P13より)
そう、受け入れてもらえる、自分は愛されているからどんな時でも大丈夫、自分ならやれる、という自分への信頼感と周囲の人々への信頼感、人間への信頼感がどっしりと根付いているととても生きやすいです。
落ち込むことはもちろんあっても、何かあった時にポキっと折れることなく、自分で解決策を模索したり、人に助けを求めたり、うまくストレス発散できたり、泣くことができたりするのが情緒的に安定した非認知能力の高い人と言えるのではないでしょうか。
多くの大人がこの能力を身につけないまま大人になって、「自己肯定感が低い」ことや「自分に自信がない」ことに思い悩むものです。
自尊感情(自己肯定感)が低い人は、親に受け止めてもらえた経験が少ないのかもしれません。もちろん親は子どもにとってよかれと思って言っていることが多いのですが、例えば、ちょっと甘えたい時に「おかあさん、やって~」とおかあさんに頼み事をしたとき「もう、きちんとしなさいよ。だからあんたはダメなのよ。自分でやりなさい」と言われることが習慣づいてしまうと、
自分は助けてもらえない、甘えさせてもらえない、甘えたいのに、誰にも甘えられない、自分で全部やらなきゃ、ダメな子なんだ、、、と自分に暗示をかけることが癖になり、後にきちんと自分の気持ちを言語化できる年齢になったころ、「自分に自信がない」と思い悩むのではないでしょうか。
本書には
実は、子育てで必要なことは、意外と当たり前のことなのです。(非認知能力を育てるあそびのレシピ 0歳~5歳児のあと伸びする力を高める /講談社/大豆生田啓友 P13より)
とあり、子どもの気持ちを受け止めてあげるだけでいい、それがとても大事なことだよ、と書いてくれているのですが、それがシンプルだけれど一番むずかしいことだったりしますよね。
よかれと思ってかけた言葉が思いのほか子どもを傷つけていたり、きちんと受け止めてあげられていなかったり。
習い事に通わせたり、何かを習得させるのが「子育て」ではない、ちゃんと話を聞いてあげるだけでいいんだよ、というメッセージにはとても安心します。お金をかけることではなく、一緒にいることや見守ること、安心感を与えてあげることが大切なんですよね。
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