「西の魔女が死んだ」はHSPやエンパスに本気でおすすめ【名言集・ネタバレあり】


西の魔女が死んだ
というタイトルを見て、西の魔女が死んだの予告編を見て、

「あ、おばあちゃんが死んじゃうんだ。ダメだ、見られない」と思ったエンパスさんやHSPさんへ。

私はたった今この作品の原作小説を読み終わったところです。大丈夫。

やさしい気持ちで読むことができました。安心して是非是非読んでみて欲しい作品です。

HSPやエンパス気質の方はこれを読んできっとすごく救われる気持ちになるだろうし、自分のことを認めてもらったような気持ちになることと思います。

最高でした。

西の魔女が死んだHSPやエンパス、生きづらさを抱えた人のために書かれた作品です

「生きづらさや敏感さ、繊細さをできるだけラクにしよう。少しでも生きやすくなるように、生き方を学ぶこと、自分の繊細さと向き合うこと」

なんでも、自分で決めよう

がテーマです。

あらすじは西の魔女が死んだ よりご確認ください。

ここから先、ネタバレします。

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外国人として海外で長年暮らすこと

私はアメリカに10年以上住んでいるので、おばあちゃんがどんな想いで外国を永住の地と選び暮らしてきたんだろうと思いを馳せました。

おばあちゃんは、英国人。日本へ英語を教えにやってきました。もともとおばあちゃんのお父さんから「日本は素晴らしい国だった」と紀行記を聞いていたとのこと。

日本で英語を教えるチャンスがやってきたので来日。そこで出会ったおじいちゃんと結婚。おじいちゃんが先に他界し、日本の田舎で一人暮らしをしている。

最近、金原ひとみさんが突然帰国したと書かれていて、その気持ちわかるわぁ~と思っています。なんでここにいるんだろう、っていう気持ち。

「日本に一時帰国してフランスに戻り、シャルル・ド・ゴール空港から自宅にタクシーで向かう道すがら、ほっとするのではなく、なぜここにいるのだろうという思いが芽生えたんです。それは次第に増幅して、『もうここにはいられない』という直感から帰国を決意しました。最後の1年は鬱に襲われてボロボロでしたね。(高圧的な男性、ハラスメントが横行するバラエティ番組……金原ひとみがパリから帰国して感じた“閉塞感”)

海外在住の苦しみや切なさやどこにも居場所のないような、根無し草はこちらの小説がとてもおすすめ

おばあちゃんはどんな気持ちで凛としてこの地に住んだんだろう。海外在住者としてはおばあちゃんのストーリーを聞きたくなるところです。

まいが「おばあちゃん、大好き」と言う。そしておばあちゃんは「アイノウ」と返す。アイノウの意味はI know(わかってる、私もよ、知ってるよ、うん)。

ところどころで生きた英語(オーディア― “oh Dear”)や、本場の英国文化の香りが文字からにじみ出てくるような印象を受けたのも、

梨木/香歩
1959(昭和34)年、鹿児島生れ。英国に留学…(西の魔女が死んだ (新潮文庫)

とあったので、納得です。留学されていたのですね。

日本にいるのに英国の香りがするので、英国が好きな方、欧米文化が好きな方、欧米留学経験がある方や海外在住の方も共感しやすい小説と言えるかもしれません。

【「西の魔女が死んだ」名言集】敏感で繊細な生きづらさと向き合う言葉

さて、主人公のまいちゃんは学校でいじめられるようになり不登校になります。おかあさんはバリキャリ、おとうさんも仕事が忙しく、しばらくおばあちゃんのところでゆっくり休ませようということになり学校には行かず田舎のおばあちゃんの家に長期滞在することになります。

そこでのおばあちゃんとまいちゃんのやり取りを中心に、HSPやエンパスが共感する箇所や生き方についての会話を名言集としてここに紹介したいと思います。

母と娘

母と娘の関係はライバル関係にも似ていますよね。娘は母のようには生きたくないと反発することがあったり、それでも母を尊敬していたり。母親のほうはついつい自分の価値観で導こうとしたり、自分の価値観のレンズを通して娘と向き合おうとしてしまったり。

小島慶子さんが親とはそういうものだよ、というお話をされていました。「重たい親になりたくない」「毒親になりたくない」そう感じている方は是非聞いてみてください。

この小説の中でもおばあちゃんーママーまい、の三世代の女性たちの関係が描かれています。

わたしの全体を知って、おばあちゃんはがっかりしないだろうか。ママががっかりしたように。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p17)

ママはハーフだったせいもあって、学校というものについぞ溶け込めなかった。…それでもとにかく、ママは日本で大学まで卒業した。りっぱだ。なのに、わたしはすでに中学で座礁しようとしている…。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p14-15)

おばあちゃんは自分で考えることが大切と言うけれど、なんだかおばあちゃんに上手いこと誘導されている気がするなぁとまいも言っていましたが(P163 )、まいのママもまた完璧すぎるおばあちゃんのようにはなれない、と尊敬の念と反発心とコンプレックスがあったのかもしれません。

(単身赴任中の夫の元へ仕事を辞めて引っ越しをすることに決めたまいのおかあさんとおばあちゃんのやり取り)

「よく決心しましたね」

「まあね、私には何がいちばん大切かっていう優先順位を考えたわけ」

「考えないとわからないんですか」

「言っておきますけれどね。私はこれで一切仕事をやめるつもりじゃないんです。おばあちゃんのような生き方は私にはとてもできないわ。私は私の人生を生きるし、おはあちゃんだからといって私にもまいにも自分の生き方を押し付けることはできないはずよ」

おばあちゃんは寂しそうに微笑んだ。

「確かにもうオールド・ファッションなのかもしれませんね」

(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p179)

HSPやエンパスの不安感、生きづらさ

こういう不安感を感じたことがあるHSPやエンパスの方は少なくないのではないでしょうか。突然襲ってくる、泣きたい、けど泣けない、でもすごくさびしくて、やり切れない「ホームシック」のような気持ち。

まいは時々ひどいホームシックに悩まされることがあった。それは、たとえ自分の家にいるときでもやってきたから、「ホームシック」と呼ぶのはおかしいのかもしれなかったが、まいにとってはそれ以外の何ものでもなかった。胸がしめつけられるような寂しさを感じてしまうのだ。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p18)

(「ホームシック」について)しかし、その原始的、暴力的威力は同じで、心臓をギューとわしづかみにされているような、エレベーターでどこまでも落ちていくような痛みを伴う孤独感を感じる。そういうときは、ただひたすらそれが通り過ぎていくのを待つしかないのだ。それでその朝も、泣くに泣けない孤独感をやり過ごしながら、台所に降りていった。大人になったら、これがどこから来て、なんでわたしにとりつくのか解明したいものだと思いながら。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p37)

感受性が豊かなHSPやエンパスは、自分の扱い方は多少上手くはなるけれど、やっぱり大人になっても感受性は強いままで、時々やり切れなくなったりするものですよね。どうしてこの「悪魔(生きづらさ)」が取りつくのか、大人になってもわからないことは沢山あります。

生き方・大人になること

「まいにも、人に見せたくないものはあるでしょう… 人は大人になろうとするとき、そういうものがどんどん増えていくんです。」(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p32)

(精神の鍛え方について)まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする

(おばあちゃんが言ったことは「体力を養う」ことで、「精神を鍛える」ことではないのではないか、と尋ねるまいに)

不思議ね。最初はほとんどおなじなのね。

悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p69-70)

この作品に出てくる悪魔、とは【生きづらさ】で魔女とは【それと上手に付き合っていく術】の比喩だと受け止めています。

「上等の魔女」とは自分のことを理解している人、自分のこころと上手く付き合っていける人。できるだけすべてに反応しないように。イヤなものは受け取らないこと。流すこと。そう、おばあちゃんは言っています。

上等の魔女は、外からの刺激に反応しない、って言いましたね。でも、それを完璧に遂行するのは無理です。正確には、上等の魔女ほど、外部からの刺激に反応する度合いが低い、と言うべきでした。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p117)

生きること、死ぬことについて。ある夜まいがおばあちゃんと生死について語り合います。おばあちゃんは「魂と肉体がひとつになって、私たちはここにいるけれど、いつか肉体は滅びて、魂はまた別の肉体に宿る、だから魂は成長し続けるものだ」と話します。それを

十分に生きるために、死ぬ練習をしているわけですね(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p119)

と言っていました。生きるために、死を意識するという考え方が好きです。終わりがあると思うから、今を生きられるし死の存在を意識するから、行動する力になることもあると思うのです。生死についてポッドキャストで話をしているので、もしよければ聞いてください。

Real Talk with Yuko

どうせ死ぬのに、生きることに、成長することに意味なんてあるのか?と問うまいとのやり取り。人の魂はどうしたって成長してしまうものなのですね。そして成長することを喜んで、楽しんでしまうもの。

肉体と共に生きることの意味について、おばあちゃんが、でも洗い立てのさっぱりしたシーツにくるまることは気持ちがいいと思うでしょ?と問いかけるシーンがあります。

生きる意味なんて、特にないんですよね。今ここにいることが心地いいかそうでないかがすべて。

五感に優れたHSPさんは読んでいるだけで土や草のにおい、ラベンダーの香りがするのを感じてしまうかも。

「成長なんてしなくたっていいじゃない」

「本当にそうですね、でも、それが魂の本質なんですから仕方ないのです。春になったら種から芽が出るように、それが光に向かって伸びていくように、魂は成長したがっているのです (西の魔女が死んだ (新潮文庫) p119)」

魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でも、その直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。((西の魔女が死んだ (新潮文庫) p138)

(まいとまいがいじめられていた事実について)

「根本的な問題の解決なんて、まいのような新米の魔女見習いには無理ですよ。この場合の根本的な問題は、クラス全体の不安ですからね。クラスのみんながそれぞれ不安なんですよ」

「でも、わたしの問題もやっぱりあると思う…わたし、やっぱり弱かったと思う。一匹狼で突っ張る強さを養うか、群れで生きる楽さを選ぶか…」

「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。」((西の魔女が死んだ (新潮文庫) p161-162)

そう、いじめの根本的な問題はそれぞれの不安。誰も本当は「誰か特定の個人を攻撃したい訳ではない」のだと私は思っています。ひとりひとりのこころの弱さを映す鏡に「特定の個人」がなってしまった時に、いじめや集団攻撃が起こるのではないでしょうか。

いじめやこころの弱さについてはこちらも是非。おすすめです

「あれ、なんか、腹立ててんのかあ…そういう場合はだな、きちんと言語化しないと、事態は悪化の一途をたどるばかり、てよく家で兄貴が言ってたぞ」

…気に入らない相手を無視する、というのは、まいが前の学校で散々苦しめられた手だ。なのに、自分も腹を立てた相手に似たような対応をするようになっている。気づかずについた染みのようなものだ。負の連鎖だ。まいは、少し、反省した。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) p207-208)

ついついイライラして夫を無視してしまったりするのは私です。皆さんはどうですか?いつも反省しています(;´・ω・)

(ダンプの運転手をする女性、あやさんとのやり取り)

「でも、大変じゃないですか」

「そりゃあ、いろいろあるわよ。でも、いろんなトラブルを一つ一つ解決していくのって何ともいえない快感よ。自分の人生を自分の力で切りひらいていっているって実感があるわ」

ああ、いろんな女の人がいる、と、まいは思った。まいのママのように、仕事が大好きで、あまり家事の好きでないタイプ。それから、ショウコの母親の順子さんのようにどっしりと家庭を営んでいくタイプ。皆口には出さないけれど、それぞれの幸福があり、また不幸もあるのだろう。でもあやさんの場合は、何というか、鮮やかだった。(西の魔女が死んだ (新潮文庫) pP216)

鮮やか、っていいね。人生の彩(いろどり)。彩がある生き方って素敵。最近私が、こんな彩素敵だなと思ったのはブレイディみかこさんの作品です。海外在住で、リアルなライフを描く作品の大ファンになりました。

女性の生き方は多様化が進んでいて、どの道が正解なのかなんてわからない。それぞれの幸福があり、それぞれの不幸がある。すべて持っていてウラヤマシイと思っているあの人にも、きっと何か抱えている気持ちがあるんだろうなぁと想像できることが大切だ。

そして自分と違う道を選んだ誰かを否定しないことだ。

それは自分の生きやすさのためにもなるから。否定が多いと、「そうなりたくない気持ち」が強すぎて、「そうなってしまった時に」自分が苦しくなるから。

例えば、老いが怖い怖い、オバサンは嫌だ、と老いることやオバサンになることを否定していると自分が年を重ねていくことにポジティブなイメージができなくなってしまう。

多様化の進むこの世界、生きづらいけど、たまに素敵なこともあって。

この作品に出会えたことが素敵なことのひとつだ。

この次は何を読もうかな?

まとめ

直観を信じる、引き寄せ、感受性の強さ、考え込んでしまうこと、「ホームシック」、どこを取ってもHSPやエンパスさんにすごくおすすめしたくなる作品でした。

そうそう、そうなんだよ、そういうこと、ある、と共感しながら是非読んでみてください。映画も原作のイメージにかなり近いように感じます。


西の魔女が死んだ

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